マテリアリティ(優先課題)分析とは、企業が自社とそのステークホルダーにとって特に重要な課題を特定するアプローチです。
広く使われているGlobal Reporting Initiative(GRI)では、マテリアリティを次のようにわかりやすく定義しています。
「組織が自社だけでなく、ステークホルダーや社会全体に対して価値を生み、保ち、広げる力に何かしら影響するトピック。その価値には経済的(企業の財務指標など)、環境的、社会的なものが含まれる」
企業が目を向けるべき課題は数多くありますが、優先すべきは企業とステークホルダーの双方が特に重要(あるいは特に「重大」)だと認めるものです。このため「マテリアリティ」は単に「優先課題」とも呼ばれます。
まずは社内外の幅広いステークホルダーから特に重要な視点を洗い出しましょう。主なステークホルダーは、次のような人々です。
社内
社外
次に、トピックをリストアップします。
Environmental 環境 | Social 社会 | Governance ガバナンス |
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・生物多様性への影響 | ||
・気候変動の緩和 | ||
・環境製品イノベーション | ||
・温室効果(GHG)ガス排出量 | ||
・原材料使用と廃棄物 | ||
・責任あるサプライチェーン | ||
・水質管理 | ・DEI(多様性、公平性、包括性) | |
・コミュニティへの貢献 | ||
・経済的な不平等 | ||
・従業員の安全とウェルビーイング | ||
・従業員トレーニングと能力開発 | ||
・倫理的なAI設計 | ||
・金融における包摂性 | ||
・人権 | ・取締役会の構成 | |
・行動規範やガバナンス規定 | ||
・データセキュリティとプライバシー | ||
・出資比率 | ||
このリストは、GRI、SASB、Ethical OSなど、ESGやサステナビリティ、倫理設計に関するさまざまなフレームワークのほか、私たちMPowerがこれまで関わったスタートアップにおけるベストプラクティスからまとめたものです。なお、ESG実践で使えるフレームワークについては、Playbookの後半で解説します。リストの詳細版は、このKfW Capital/BCGレポートの19ページをご覧ください。